医療法人 大原内科医院
りゅう市役所北 内科・リハビリ科

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神経難病

 神経難病とは、脳や神経の病気のうち、原因がわからず、治療方法がなく、長期にわたって生活に支障をきたす病気のことを言います。何らかの体の動きが不自由になりますが、病気によって症状があらわれる体の部位や進行の仕方が異なり、中々診断がつかないものが多く、他の病気として長年通院しているケースも少なくありません。 診断のためには、詳しく症状をお聞きして、特殊な診察器具を用いて診察を行ったり、更に詳しい精密検査を行うなどの必要があります。

 

ギランバレー症候群

ギランバレー症候群とは

 ギランバレー症候群とは、末梢神経(脳や脊髄から枝分かれして手足に分布する神経)の障害によって、急に両側の手足に力が入らなくなる病気です。

症 状

 咳や下痢の2週間後より、急に、両側の手足の先端からビリビリするしびれ感と、力の入りにくさがあらわれて、数時間から数日のうちにどんどん進行して、ものを持ったり歩いたりしにくくなります。症状の程度は人によって様々で、少し歩きにくい程度の方からほとんど手足が動かせなくなる方までいます。他にも顔面の麻痺や、物が2重に見える、ろれつが回らない、食事が飲み込みにくいなどの症状がみられたり、呼吸のための筋肉も弱くなって呼吸困難となる場合があります。
 多くの方は2週間以内には進行が止まり、その後はゆっくりと快方に向かって、6~12ヵ月後にはほぼ回復しますが、約2割の方では後遺症が残ります。治療の開始が遅れると後遺症が残りやすくなります。

ギランバレー症候群

原 因

 上気道炎や胃腸炎がきっかけとなって、その病原体をやっつけるための「抗体」が、誤って自分の末梢神経を攻撃してしまうことが原因といわれています。幼児から高齢者まであらゆる年齢層の人に発症しますが、遺伝したり、他人に感染することはありません。

治 療

 ギランバレー症候群の発症初期の治療には、入院が必要で、免疫グロブリン療法(血液中のグロブリンという成分を点滴する治療法)や血漿交換療法(血液の成分の一部を入れ替える治療法)を行います。その後、筋力の回復の状態に合わせて適切なリハビリテーションを行うことが大切です。

 

多発性硬化症

多発性硬化症とは

 多発性硬化症とは、中枢神経(脳や脊髄)のあちこちに障害が起こって、視力低下や筋力低下などの症状があらわれ、それが再発と改善を繰り返す病気です。

症 状

多発性硬化症

 それまで健康だった方に、急に、視力低下や複視(物が2重に見える)、手足の筋力低下やしびれ、排尿困難などの症状があらわれます。数週間でいったん改善する場合が多いですが、その後もしばしば再発と改善を繰り返しながら症状が悪化してゆきます。この病気による神経障害は、脳や脊髄のどこにでも起こるため、再発の部位によって症状は様々で、同じ患者様でも再発するたびに症状が異なります。

原 因

 多発性硬化症の原因は良く分かっていませんが、ウイルス感染をきっかけに、異常な免疫反応が起こって、「脱髄( 神経が混線しないようにカバーしている細胞の障害)」が起こり、神経細胞どうしの情報伝達が上手くゆかなくなるために生じるといわれています。
 30歳前後の若年者(特に女性)に多く発症しますが、遺伝したり、他人に感染することはありません。

治 療

 多発性硬化症の発症初期の治療には、入院が必要で、ステロイドパルス療法(ステロイドというホルモン薬を点滴する治療法)を行います。症状改善後には再発予防のため、インターフェロン皮下注射療法やステロイド内服療法を行います。日常生活では、感冒や激しい運動、過労、精神的ストレスなどを避けることが重要です。これらの治療と合わせて適切なリハビリテーションを行うことが大切です。

 

重症筋無力症

重症筋無力症とは

 重症筋無力症とは、神経と筋肉の間の情報伝達の障害によって、ものが2重に見えたり手足の筋力低下や異常な疲れやすさがあらわれる病気です。

症 状

重症筋無力症

 目の筋肉が障害されやすく、ものが2重に見える、まぶたが下がって眠そうな顔つきになるなどの症状があらわれます。症状が全身に広がると、食べ物をかむのに疲れてしまう、歯磨きの時に手が疲れてしまう、階段の上り下りがしにくいなどの症状があらわれます。疲れやすいことがこの病気の特徴で、動作を繰り返すと力が入りにくくなりますが、少し休むと回復します。朝には症状が軽くて、夕方になると悪化するという日内変動があります。感冒や手術をきっかけに、急激に症状が悪化する場合があり、重症の場合には飲み込み困難や呼吸困難になります。

原 因

 神経と筋肉とが連絡している部分(アセチルコリンレセプター)に対して、異常な免疫反応によって「自己抗体(自分の細胞を攻撃する抗体)」が作られてしまうことで、神経と筋肉との情報伝達が上手くゆかなくなることが原因といわれています。
 小学生から高齢者まで様々な年齢層の人に発症しますが、遺伝したり、他人に感染することはありません。

治 療

 重症筋無力症の治療は、神経と筋肉の間の神経伝達物質(アセチルコリン)の作用を増強させる薬や免疫の働きを調節する薬(ステロイドや免疫抑制剤)を使用します。
 症状が重度の場合には、入院が必要で、ステロイドパルス療法(ステロイドというホルモン薬を点滴する治療法)などを行います。胸腺腫という腫瘍を合併することがあり、その場合には手術を行います。

 

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、脳や脊髄の運動神経細胞の数が減ってゆくために、手足の筋力がゆっくりと弱くなってゆく病気です。

筋萎縮性側索硬化症

症 状

 気づかないうちに発症して、ゆっくりと手足に力が入りにくくなってゆき、ものを持ち上げたり、字を書いたり、歩いたり、立ち上がるのが困難になります。口やのどの筋肉が障害されると、喋りにくくなったり、食事がむせて飲み込めなくなります。呼吸のための筋肉が弱くなると、呼吸困難になります。
 全身の運動機能だけが数年かけてゆっくりと衰えていき、やがて寝たきりになりますが、手足の感覚機能や認知機能(物を考える能力)はほとんど障害されません。

原 因

 筋萎縮性側索硬化症の原因は良く分かっていませんが、アミノ酸代謝の異常や自己免疫が関係するなどいくつかの学説があります。
 60歳前後で発症することが多く、ほとんどの場合は遺伝しませんが一部に遺伝するものもあります。

治 療

 筋萎縮性側索硬化症の研究は進んできていますが、現在のところ病気を治す方法はまだありません。リルテックという内服薬やラジカットという点滴薬には病気の進行を遅らせる効果がありますが、その効果はまだ十分とは言えません。現在もいくつかの治療薬の開発が進められています。コミニケーションが困難となった場合にはタッチセンサーをパソコンに接続して意思疎通を図ったり、飲み込みが困難となった場合には胃瘻や栄養チューブから栄養補給を行ったり、呼吸困難となった場合には人工呼吸器で呼吸を補助するなどの方法があります。

 

脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症とは

 脊髄小脳変性症とは、脳の中の「小脳」や「脳幹」という部分の神経細胞が減ってゆくために、運動失調(力は入るが運動のコントロールがきかない症状)を起こす病気です。

脊髄小脳変性症

症 状

 脊髄小脳変性症には遺伝性のものと非遺伝性のもの(多系統萎縮症)があります。いずれの場合も、主な症状は手足の動きがコントロールしにくくなることであり、(お酒を飲んでいなくても)千鳥足になったように歩行時にふらつく、手がふるえて字が書きにくい、ろれつが回りににくいなどの症状があらわれて、数年~数十年かけてゆっくりと進行してゆきます。非遺伝性のもの(多系統萎縮症)では、さらにパーキンソン症状(動作がゆっくりになる・表情に乏しくなる)や起立性低血圧(立ち上がった時に目の前が真っ暗になる)や排尿困難があらわれます。

原 因

 遺伝性のものが3割、非遺伝性のものが7割を占めます。
 遺伝性では、異常な遺伝子から作られた異常な蛋白質(ポリグルタミン)が神経細胞内にたまってしまうことにより、神経細胞の働きがおかしくなることが原因といわれています。遺伝性の脊髄小脳変性症は、小児から高齢者まであらゆる年代で発症しますが、両親のいずれかに同じ症状の方がいることが多いです。
 非遺伝性のほとんどは多系統萎縮症というパーキンソン症候群にも分類される病気で、こちらの原因は良く分かっていません。非遺伝性(多系統萎縮症)では、60歳前後で発症することが多いです。職業や食生活が発症に影響することはなく、他人に感染することもありません。

治 療

 脊髄小脳変性症の研究は進んできていますが、現在のところ病気を治す方法はまだありません。ヒルトニンという点滴薬やセレジストという内服薬には、病気の進行を遅らせる効果があります。日常生活においては、ゆっくり喋るように心がける、手を机などで固定して作業をする、足を左右に開いて歩く、重りをつけた靴を使うなどの工夫で改善する場合もあり、症状に合わせてリハビリテーションを行うことが大切です。

 

 神経難病は、かつては不治の病として、ほとんど治療法がありませんでした。
 近年、いくつかの病気では、治療法が確立し、何の問題もなく生活できるようになった病気もあります。
 その一方で、後遺症が残ってしまったり、いまだに十分な治療法がない病気も数多くあります。しかし、この分野の研究は日進月歩であり、新しい治療法が次々に開発されています。
 また、根本的な治療法がない場合でも、リハビリで機能維持を図ったり、適切な補助具を使ったり、様々なサービスを利用することによって、生活をしやすくすることができます。
  適切な治療によって病気の進行を防ぐとともに、できるだけ生活がしやすくなるよう、最善の方法を考えてゆきましょう。
 上記以外の病気でも、神経難病について、ご心配なこと、お困りのことがございましたら、当院にご相談ください。

診療時間

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