医療法人 大原内科医院
りゅう市役所北 内科・リハビリ科

お問い合わせ・ご予約は
TEL 0564-21-0013

手足の症状

手足のむくみ

片腕や片足のむくみ

 片方の腕や足が腫れたようにむくんで、強い痛みや皮膚の発赤がある場合は、手足の傷口から細菌が侵入したことによる細菌感染症(蜂窩織炎)の可能性があります。急激に悪化することがあるため、早期に診断して、抗生物質(細菌の増殖を抑える薬)による治療を行うことが必要です。
 片側のむくみでも痛みがない場合には、深部静脈血栓症やリンパ浮腫の可能性があります。
 下肢の深部静脈血栓症は、足を長時間動かさないでいると流れの遅い静脈の中に血栓ができて、静脈がつまってしまう病気です。その血栓が血流にのって肺につまってしまうと重度の呼吸困難(エコノミークラス症候群)を起こす場合があります。
 リンパ浮腫は、むくみを指で押しても凹まないのが特徴で、しばしば悪性腫瘍によってリンパ管がつまることで起こります。
 いずれにしろ片側のむくみが急にあらわれた場合には、早期に詳しい検査を行って、原因を調べる必要があります。

両手や両足のむくみ

 両手や両足のむくみの原因は、長時間の立ち仕事、水分や塩分のとり過ぎ、心臓の病気、腎臓の病気、甲状腺の病気、薬の影響などがあります。
 長時間の立ち仕事によるものの場合には、まずは血液検査などで他の病気がないことを確認した上で、ふくらはぎの体操をしたり、塩分を控えめにすることで解消を図ります。心臓の病気や腎臓の病気の場合には、利尿剤などで治療を行います。薬(鎮痛剤など)の影響でむくみが出る場合もあります。

 

手足の冷え

 手足の冷えの原因には、手足の血管の動脈硬化、甲状腺の病気、貧血、心不全、末梢神経の病気、生活習慣の乱れや生まれつきの冷え性体質などがあります。

手足の血管の動脈硬化

 動脈硬化によって手足の血管が細くなり、冷えや痛みが出る病気を閉塞性動脈硬化症といいます。軽度の時は、手足の先端の冷えやしびれのみです。動脈硬化が進行すると、運動時の痛み(間欠性跛行)があらわれます。
 間欠性跛行とは、歩行時に下肢の筋肉に十分な血液がいきわたらず、一定の距離を歩くとふくらはぎに痛みを生じますが、ひと休みすると痛みが治まって再び歩くことができるという症状です。動脈硬化がさらに進行すると、安静時にも強い痛みがあらわれます。
 治療には、禁煙がとても重要ですが、血管を拡げる薬を使用したり、下肢の血行を改善するためのウォーキング治療を行います。糖尿病や高血圧を認める場合には、しっかりとコントロールを行うことが必要です。足の痛みが強い場合には、バイパス手術やカテーテル治療を行う場合もあります。  

他の病気による手足の冷え

 甲状腺機能低下症は、代謝を盛んにするホルモン(甲状腺ホルモン)が不足することにより、冷え性になったり、むくみが出たりします。
 貧血心不全では、四肢先端の血流不足や酸素不足のため冷え性になります。
 末梢神経の病気では、感覚神経の異常によって、冷えを感じやすくなります。
 生活習慣の乱れや生まれつきの冷え性体質の場合には、まずは診察や検査で他の病気がないことを確認した上で、禁煙、ウォーキングなど軽い運動、レッグウォーマーなどでの保温、食生活の改善(砂糖類など体を冷やす食べ物を控えて体を温める食べ物を多くとる)、十分な睡眠、過度のストレスを避けること、によって解消を図ります。体を温める作用のある漢方薬を使用する場合もあります。

 

手足のふるえ

手足のふるえ ふるえの原因には、寒い時に体がブルブルする時のように病気ではないふるえのこともあれば、甲状腺機能亢進症や肝不全など内科の病気のことや、本態性振戦パーキンソン病のように神経の病気のことがあります。ひどい場合には、一日中ふるえが気になって仕方がない、ふるえのため字が書けないなど日常生活にも影響が出る場合があります。
 「ふるえの原因が知りたい」「ふるえを何とか止めたい」など、ふるえでお困りの方は、どうぞ当院までご相談下さい。

生理的振戦

 寒い時、緊張した時、重い物を持ち上げる時など、誰にでも日常的に良くみられるふるえを生理的振戦といいます。病気によるふるえではないので心配いりません。  

甲状腺機能亢進症

 甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、バセドウ病とも呼ばれます。20歳~40歳の女性に多く発症し、指先の細かいふるえ、脈が速くなる、気分がイライラする、体重が減るなどの症状があらわれます。甲状腺ホルモンの合成をおさえる薬を使用すると1~2ヵ月で症状は改善しますが、完治のためには数年以上続ける必要があります。

本態性振戦

 本態性振戦とは、ふるえのみが症状の病気です。とても多い病気で、40歳以上の5%、65歳以上の20%にみられます。字を書く時や箸を使う時にみられることが多く、人前や緊張する場面で強くなります。人によっては、緊張する場面で首を横に振るふるえが出たり、人前であいさつする時に声がふるえたりします。交感神経の働きをおさえる薬を使用すればかなり軽くすることができます。

パーキンソン病

 パーキンソン病とは、脳からの指令がうまく伝わらなくなるために、体をスムーズに動かすことができなくなる病気です。50~60歳以上の方に多く発症し、手足のふるえ、体のこわばり、動作がゆっくりになる、転びやすくなるなどの症状が現れます。ふるえはパーキンソン病の方が最初に気づくことが多い症状で、体の左右のどちらか片側でより強くふるえます。パーキンソン病のふるえは、何もしていない時に目立ち(静止時振戦)、何かしようとすると止まるので、字を書く時や箸を使う時には不便を感じません。親指と他の指をすりあわせ、丸薬を丸めるような動きのふるえもよくみられます。

>>パーキンソン病

脊髄小脳変性症

 脊髄小脳変性症とは、脳の中の「小脳」や「脳幹」という部分の神経細胞が減ってゆくために、運動失調(力は入るが運動のコントロールがきかない症状)を起こす病気です。字を書く時や箸を使う時に、手のコントロールがきかないために、手がふるえるようになります。

>>神経難病(脊髄小脳変性症)

ミオクローヌス

 手足や全身がビクッとする動きをミオクローヌスといいます。健康な人でもウトウト眠っている時に一瞬体がビクッとすることがありますが、これは疲労や姿勢が関与して起こる症状であり、病気ではありません。一方、ビクつきが頻繁にみられる時には、高血糖、肝不全、腎不全、呼吸不全(CO2ナルコーシス)などの場合があり、ふるえに似た症状になります。

 

手足のつっぱり

 脳卒中後に麻痺が残った場合には、手足につっぱり感(痙縮)が出てしまう場合があります。これは脳卒中によって脳から筋肉への緊張をゆるめる指令が十分に届かなくなるために、余分な力が入ってしまうことにより生じます。手指を握ったまま開きにくい、肘が曲がったまま伸ばしにくい、足先がつっぱって踵が地面につきにくいなどの症状がみられます。
 脳卒中の発症早期(発症から6ヵ月以内)なら、リハビリテーションによって手足の動きの回復を図ることで、それと共につっぱり感も改善することを目指します。慢性期には、病院でマッサージ療法を行う場合もありますが、ご自身やご家族がマッサージのやり方を覚えて、ご自宅でも実施できるようにすることが大切です。ふさぎ込んだ気持ちでいるとつっぱり感が強くなりやすいため、楽しい趣味活動をみつけてそれに打ち込んだり、気分転換でうまくストレスを解消できると、つっぱり感も良くなります。
 つっぱり感が強い場合には筋弛緩薬(筋肉の緊張を取る薬)や抗不安薬(気持ちをリラックスさせる薬)を使用しますが、それでも強いつっぱり感が続いて日々の生活に支障がある場合はボツリヌス治療を行う場合があります。

こむら返り

こむら返り こむら返りとは、ふくらはぎや足の裏の筋肉が、急に収縮したまま伸ばせなくなって強い痛み(いわゆる”足がつった”状態)を生じる病気です。
 とても頻繁にみられる症状であり、健康な人の3割に月1回程度起こるといわれています。こむら返りを起こす三大原因は、脱水症と、冷えと、筋肉の疲労であり、これらの悪条件が重なった時に起こります。こむら返りの予防のためには、水分を十分に摂取すること、塩分やカルシウムなどのミネラルを適切に補給すること、ふくらはぎを冷やさないこと、運動の前後や眠る前にストレッチをすることなどの対策が有効です。それでもこむら返りが起こってしまった時には、芍薬甘草湯という漢方薬を使用すると、症状が改善します。
 ただし時に、閉塞性動脈硬化症、腰部脊柱管狭窄症、糖尿病、甲状腺機能低下症などが原因の場合もあるため、繰り返し起こる場合には、これらの病気がないか確認することが必要です。

ムズムズ脚症候群

ムズムズ脚症候群 ムズムズ脚症候群(レストレスレッグ症候群)とは、夜臥床した時に、下肢にムズムズするような不快感があらわれて、そのせいで脚をじっとしていられなくなる病気で、しばしば不眠の原因もになります。原因は良く分かっていませんが、脳内の神経伝達物質ドーパミンの働きの低下や、鉄分の欠乏が関与しているといわれています。この病気は、一般の人はおろか医師の間でもあまり知られていませんが、全人口の2%にみられる頻度の高い病気です。
 主な症状は、夜横になった時に、太ももやふくらはぎの奥の方に、アリが這い回っているようなムズムズする感じやピリピリする感じ、無意識に足がピクッと動くなどの、我慢できない不快感があらわれます。
 脚を動かすと一時的に楽になりますが、じっとしていられないため、しばしば眠るのが困難になります。ひどい場合には、一晩中寝返りをうったり歩き回ったりするため、夜はぐっすり眠れず、日中は眠気に悩まされて、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。
 日常生活の注意点は、カフェイン・アルコール・ニコチンによって起こりやすくなるため、夕方以降は、コーヒーやお茶、お酒、タバコを控えるようにします。寝る前に下肢をマッサージするのも有効です。内服治療では、パーキンソン病治療薬や抗てんかん薬をがとてもよく効きます。鉄分不足がある場合には鉄分を補充する薬を使用します。ただし、睡眠薬はかえって症状を悪化させる場合があるので、注意が必要です。

手足の関節や筋肉の痛み

手足の関節や筋肉の痛み 手足の関節や筋肉が痛む原因は、整形外科的なものの場合が多く、健康な人でも、慣れない作業・運動による筋肉痛や肉離れ、不良姿勢が原因の痛みは、しばしばみられます。これらのほとんどは数日~2週間で自然に治まります。一方、五十肩(肩関節周囲炎)や膝の変形(変形性膝関節症)などのように、慢性の関節痛となる場合もあります。
 内科の病気による関節や筋肉の痛みの原因では、ウイルス感染症(感冒やインフルエンザ)によるものが最も多く、これらのほとんどは数日で自然に治まります。稀なウイルス感染症(コクサッキーウイルス、リンゴ病ウイルス、デング熱ウイルス)の中には、強い筋肉痛や関節痛を伴い、痛みが数週間続くものもあります。
 関節リウマチは、免疫の異常によって全身の関節に炎症を起こす病気です。手の指や手首など多数の関節に、朝起きた時に強い痛み(朝のこわばり)が出現し、病気が進行すると、関節の骨が破壊されて変形が起こります。リウマチ性多発筋痛症は、免疫の異常によって筋肉や関節周囲の炎症を起こす病気です。高齢者に、首から肩にかけてと腰から太ももにかけて、朝起きた時に筋肉がこわばるような強い痛み(朝のこわばり)が出現します。膠原病は、免疫の異常によって全身の血管や皮膚などに炎症を起こす病気です。発熱に加えて関節痛や皮疹などの特徴的な症状が現れることが多いですが、初期には感冒のような症状のみで、数週間経ってはじめて他の症状がハッキリしてくることがあります。脊椎関節炎は、免疫の異常や遺伝的な体質によって背骨などに炎症を起こす病気です。腰からお尻にかけて(仙腸関節)やアキレス腱や足の裏などに、朝起きた時に痛みが出現しますが、動き始めると軽快するのが特徴です。
 それ以外にも、甲状腺疾患、痛風や偽痛風、細菌性関節炎、結核性関節炎、感染性心内膜炎、ツツガムシ病、ライム病、アレルギー性紫斑病、家族性地中海熱、急性白血病、悪性腫瘍の転移などによって、関節や筋肉の痛みがあらわれる場合がありますが、ここでは詳しい説明は省略させていただきます。
 「内科の病気による痛みが心配」「痛みが中々良くならない」など、関節や筋肉の痛みに関してご心配なことがあれば、どうぞお気軽に当院にご相談下さい。なお痛みの原因によっては、専門の医療機関に紹介させていただく場合がございます。

>>首から肩にかけての凝ったような痛み(リウマチ性多発筋痛症)

手足の麻痺としびれ

手足の麻痺としびれ 麻痺には運動麻痺と感覚麻痺がありますが、医学的には運動麻痺のことを麻痺と呼び、感覚麻痺のことを感覚障害と呼びます。
 (運動)麻痺とは、思うように手足に力が入らないことを言い、脳から手足を動かす命令を伝える運動神経の経路のどこかで神経が障害されることで起こります。 
 感覚障害とは、(長く正座した後のように)何も触れていないのにジンジンする、(肘をぶつけた時のように)ビリッと電気が走る、手足の皮膚を触っても感じが鈍いなどの症状のことを言い、手足の感覚を脳に伝える感覚神経の経路のどこかで神経が障害されることで起こります。
 麻痺やしびれが起こる原因には、脳の病気(脳卒中など)、脊髄の病気(椎間板ヘルニア・多発性硬化症など)、末梢神経の病気(糖尿病性神経障害・ギランバレー症候群など)、筋肉の病気(重症筋無力症・多発性筋炎など)、手足の血行障害(閉塞性動脈硬化症など)のことがあります。
 麻痺やしびれの原因を調べるためには、どこからどこまでの範囲に力が入りにくいか(またはしびれているか)、急に起こったのかジワジワといつの間にか始まったのかなど、詳しく症状をお聞きして、特殊な診察器具を用いて十分に診察を行うことが必要です。
 「脳卒中などの悪い病気じゃないか心配」「力が入りにくくて困る」「しびれの原因を知りたい」など、手足の麻痺やしびれでお困りの方は、どうぞお気軽に当院にご相談下さい。

急に生じた手足の麻痺やしびれ

 ある日突然、四肢に麻痺やしびれがあらわれた場合には、脳梗塞、多発性硬化症、ギランバレー症候群などの、緊急で治療が必要な病気の可能性があります。
 脳の病気(脳梗塞や脳出血など)では、ある日突然(あるいは朝起きたら)、左右どちらか片側の手足に力が入らないとか、片側全体がしびれるなどの症状があらわれます。脳や脊髄は神経が密集しているため、半身全体とか腕全体など、かなり広い範囲の症状となります。そのような症状があらわれた場合には、たとえ軽い症状であったり短時間で良くなっても、念のため医療機関を受診することをおすすめします。
 脊髄の病気(多発性硬化症や脊髄梗塞など)では、ある日突然、左右両側(片側の場合もあります)の手足の麻痺やしびれ、排尿困難などの症状があらわれます。
 末梢神経の病気のうち、ギランバレー症候群では、ある日から急に、両側の手足の先端からビリビリするしびれ感と、力の入りにくさがあらわれて、数時間から数日のうちにどんどん進行して、ものを持ったり歩いたりしにくくなります。
 一方、(ギランバレー症候群以外の)末梢神経の病気の多くは、ある1本の末梢神経が圧迫されることによって起こり、手足の一部に限局した筋力低下やしびれになります。例えば、肘の内側をぶつけた時には小指や薬指がしびれ、固い椅子に座っている時にはふくらはぎの外側がしびれます。

>>脳卒中
>>神経難病(ギランバレー症候群、多発性硬化症)
>>手の一部に限局した麻痺やしびれ
>>足の一部に限局した麻痺やしびれ

慢性に生じた手足の麻痺やしびれ

 数ヵ月~数年以上前から麻痺やしびれがあって徐々に強くなってきたという場合には、多発性脳梗塞、頸椎症や腰椎症、糖尿病性多発神経障害のことが多いです。稀に多発性硬化症・重症筋無力症・筋萎縮性側索硬化症などの神経難病や(糖尿病以外の)多発神経障害の場合もあります。
多発性脳梗塞では、新たな脳梗塞を起こすたびに階段状に症状が悪化していきます。症状は脳梗塞が起こった場所によって様々ですが、麻痺やしびれ、歩行のバランス障害、呂律障害、認知症などがあらわれます。
頸椎症腰椎症は、加齢によって脊柱管(背骨後方の脊髄や神経の通り道)が狭くなることにより、神経が圧迫されてしびれや痛みが生じる病気です。頚椎症では肩から指にかけて、腰椎症ではお尻から足にかけてのしびれや痛みを生じます。首や腰をひねった時に痛みが生じやすく、転倒をきっかけに急に悪化する場合があります。
 多発性硬化症では、急に手足の麻痺やしびれがあらわれ、再発と改善を繰り返します。重症筋無力症では、徐々に手足の疲れやすさや筋力低下があらわれますでは。筋萎縮性側索硬化症では、徐々に手足の筋力低下があらわれ、ゆっくりと進行します。

>>首の横側の痛み(頸椎症)
>>緊急ではない腰痛(腰椎症)
>>神経難病(多発性硬化症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症)

 

■両手両足(手袋と靴下の範囲)のしびれや筋力低下

多発神経障害 手足のある一部分だけではなくて、両手両足ともに全体的にしびれるという場合には、多発神経障害の可能性があります。これは糖尿病などの全身性の病気によって、末梢神経(脊髄から枝分かれして手足へとのびる神経)が多発性に障害されることで、両手両足とも同じように、手足の先端を中心に、ちょうど手袋と靴下の範囲に、しびれや筋力低下があらわれます。
 多発神経障害のうち悪化したり改善したりを繰り返すタイプには、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)があり、これはギランバレー症候群の親戚の様な病気です。しびれや筋力低下が、悪化したり改善したりを繰り返しながら、2か月以上の経過で徐々に悪化してゆきます。
 多発神経障害のうち徐々に進行するタイプで、特に多いのは糖尿病性多発神経障害です。糖尿病性多発神経障害とは、糖尿病の合併症の一つで、高血糖が長年続くことによって、神経が変性したり、毛細血管の血流が悪くなることによって起こります。手や足の指先がジンジンしたり、虫が這っているような違和感や、裸足で歩くと足の裏に紙が貼ってあるような違和感を感じます。しばしば目を動かす神経の麻痺のため、ものが二重に見える症状(複視)があらわれることもあります。治療には血糖のコントロールが大切ですが、症状に合わせて、神経痛を和らげる薬、血行を改善する薬、漢方薬などを使います。
 それ以外にも、アルコール過剰摂取、ビタミン欠乏症、膠原病、多発性骨髄腫、抗癌剤の副作用、有機溶剤中毒、遺伝性の病気(シャルコーマリートゥース病や家族性アミロイドポリニューロパチー)などが原因となりますが、ここでは詳しい説明は省略させて頂きます。

手の一部分だけのしびれ

 手や腕の一部分だけがしびれるという場合には、脳の病気のことは少なく、ほとんどは末梢神経あるいは頚椎の病気によるものです。ある1本の末梢神経が周りの組織によって強く圧迫されたり長時間圧迫されると、その神経がのびていく部分にしびれや筋力低下が生じます。例えば、肘の内側をぶつけたり、肘をついて長時間作業した時には、尺骨神経が圧迫されて小指と薬指がしびれます。


1.手根管症候群、正中神経の障害

手根管症候群 親指から薬指がしびれる場合には、その原因のほとんどは手首の部分での正中神経の障害(手根管症候群)です。これは全身のあらゆる「しびれ」の中で最も多い病気です。手首の部分では、正中神経と手を動かす筋肉の腱は、骨と靭帯に囲まれた狭いトンネル(手根管)の中を通ります。手の運動を繰り返すと、正中神経がこのトンネルの中で圧迫を受けることにより、症状があらわれます。初めは人差し指と中指を中心に(時として親指と薬指にも)、主に指先から手のひらにかけて、ジンジンするようなしびれと痛みが生じます。このしびれは、夜間や早朝に強いですが、手を振ったり指を曲げ伸ばしすると楽になります。手を酷使すればするほどしびれがひどくなり、進行すると親指の付け根の筋肉(母指球筋)がやせてきて、ボタンや細かいものをつまむのがやりにくくなります。更年期や妊娠出産期の女性に特に多くみられます。
 軽度の場合は、手を使い過ぎないように心がけたり、神経の回復を促すビタミン薬や痛み止め薬を使用します。ひどい場合には、神経の通り道を広げる手術を行うことがあります。

 比較的稀ですが、肘の近くで正中神経が障害されることもあり(回内筋症候群)、この場合には親指から薬指のしびれに加えて、前腕の前側の痛みを生じます。ドライバーを使う仕事やテニスなどのスポーツを行う方にみられます。
 一方、手の甲にもしびれがある場合や、首を動かした時に首から腕にかけて痛みが走る場合には、頚椎症の可能性があります。

 

2.肘部管症候群、尺骨神経の障害

肘部管症候群 小指と薬指がしびれる場合には、その原因の多くは肘の部分での尺骨神経の障害(肘部管症候群)です。ほとんどの方は、肘の内側を机の角などでぶつけた時に小指と薬指に電気が走った経験があると思いますが、あれは尺骨神経が刺激されたことによる症状です。
 尺骨神経は、肘の内側の部分では、骨と靭帯に囲まれた狭いトンネル(肘部管)の中を通って、小指や薬指へと向かいます。肘の運動を繰り返すと、尺骨神経がこのトンネルの中で圧迫を受けることにより、症状があらわれます。初めは小指と薬指に(時として前腕尺側にも)、ジンジンするようなしびれと痛みが生じます。進行すると小指の付け根の筋肉(小指球筋)や指と指との間の筋肉(背側骨間筋)がやせてきて、小指と薬指がまっすぐに伸ばせなくなり、手で水をすくいにくくなります。大工仕事や野球などのスポーツを行う方に多くみられます。
 軽度の場合は、肘を使い過ぎないように心がけたり、神経の回復を促すビタミン薬や痛み止め薬を使用します。ひどい場合には、神経の通り道を広げる手術を行うことがあります。

 比較的稀ですが、手首の部分で尺骨神経が圧迫されることもあり(ギオン管症候群)、この場合にはしびれよりも手の筋肉のやせで始まることが多いです。
一方、手の甲にもしびれがある場合や、首を動かした時に首から腕にかけて痛みが走る場合には、頚椎症の可能性があります。鎖骨付近にうずくような痛みがあったり、腕を挙上した位置での作業によってしびれやだるさがあらわれる場合には、胸郭出口症候群の可能性があります。

 

3.橈骨神経麻痺

橈骨神経麻痺 朝起きたら、手の甲がしびれて、手を握れるけれども伸ばすことができないという場合には、橈骨神経麻痺の可能性があります。
橈骨神経は、上腕の部分では、骨(上腕骨)のすぐ上を通るため、骨と外部(机や床など)に挟まれて、神経が圧迫されやすくなっています。
 よくあるのは、酔っぱらって腕を枕にして寝た時に、目覚めたら、手の甲がしびれて、手首を手の甲の側に持ち上げられない、手指が伸ばせないという症状があらわれます(サタデーナイト症候群ともよばれます)。
多くは数ヶ月で自然治癒するため、神経の回復を促すビタミン薬を使用しながら回復を待ちます。

足の一部分だけのしびれ

 下肢の一部分だけがしびれるという場合には、脳の病気のことは少なく、ほとんどは末梢神経あるいは腰椎の病気によるものです。ある1本の末梢神経が周りの組織によって強く圧迫されたり長時間圧迫されると、その神経がのびていく部分にしびれや筋力低下が生じます。

1.坐骨神経痛

坐骨神経痛 太腿の後側から足先へと広がるしびれや痛みがある場合には、坐骨神経痛の可能性があります。
 坐骨神経は、腰椎や仙椎から出た神経が束になり、太ももやふくらはぎの後ろ側を通って、足へと向かいます。坐骨神経の通り道のどこかで何らかの圧迫を受けると症状があらわれますが、原因の中で最も多いのは、若年者では腰椎椎間板ヘルニア、中高年以上では腰部脊柱管狭窄症です。
 お尻や太ももの後ろ側、ふくらはぎの外側、さらに足の甲や足の裏へと広がる、しびれや痛みやつっぱり感があらわれます。神経の圧迫が強いと、足に力が入らず、つまづきやすくなったり、尿が出にくくなる場合があります。腰部脊柱管狭窄症の場合には、一定の距離を歩いた時だけ症状があらわれて、しばら休むと楽になる症状(間欠性跛行)となることがあります。
 腰に負担のかかる作業や痛みの出やすい姿勢を避けるようにすることが大切です。神経痛を和らげる薬や、腰の神経の血流を改善する薬などを使用します。リハビリとして、温熱療法、マッサージ療法、腰痛体操などを行う場合があります。ひどい場合には、手術を考慮することがあります。
 比較的稀ですが、お尻の筋肉によって坐骨神経が圧迫されることもあります(梨状筋症候群)。坐骨神経はお尻のところで梨状筋という筋肉の下を潜り抜けますが、股関節の運動を繰り返すとこの部分で神経が圧迫されて、坐骨神経痛が起こります。ランニングなど股関節の屈伸を繰り返すスポーツを行う方に多くみられます。腰椎椎間板ヘルニアと間違えられることがありますが、梨状筋症候群の場合には、腰痛はなく、しゃがんだ状態で股を開く動作をすると、痛みが増悪することが多いです。

 

2.大腿神経痛と外側大腿皮神経痛

大腿神経痛と外側大腿皮神経痛 太腿の前面と内側にしびれや痛みがある場合は大腿神経痛、太腿の外側にしびれや痛みがある場合は外側大腿皮神経痛の可能性があります。
 大腿神経は、上部腰椎から出た神経が束になって、太ももの付け根や内側を通って、すねの内側へと向かいます。
 大腿神経の通り道のどこかで何らかの圧迫を受けると症状があらわれますが、原因の多くは、上部腰椎(第3腰椎と第4腰椎の間)の椎間板ヘルニアです。太ももの付け根から、太ももの内側やすねの内側へと広がる、しびれや痛みやつっぱり感があらわれます。進行すると、膝に力が入らず、階段の上り下りがしにくくなります。治療は坐骨神経痛と同じで、痛みの出やすい姿勢を避けて、神経痛を和らげる薬などを使用します。
 外側大腿皮神経は、太ももの付け根(鼠径部)から太ももの外側へと広がっています。この部分が窮屈なジーンズやガードルで長時間圧迫されると、太ももの外側にジンジンするような、焼けつくようなしびれや痛みがあらわれます。こちらは数週間で自然治癒するため、神経痛を和らげる薬や神経の回復を促すビタミン薬を使用しながら回復を待ちます。
 一方、走る時や坂道を下りる時に、膝の外側から太ももにかけて痛む場合には、腸脛靭帯炎の可能性があります。

 

3.腓骨神経麻痺

腓骨神経麻痺 朝起きたら、ふくらはぎの外側や足の甲がしびれて、爪先が持ち上げられないという場合には、腓骨神経麻痺の可能性があります。
 腓骨神経は、膝の外側の部分では、骨の出っ張り(腓骨頭)のすぐ後ろを通るため、骨と外部(床など)に挟まれて、圧迫されやすくなっています。痩せた人が硬い床の上で寝た時や、何かの病気でしばらく寝たきりになった時に、生じるケースが多いです。
 ふくらはぎの外側や足の甲がしびれて、足首を底側には動かせるけれども、足の甲の側に持ち上げられないという症状があらわれます。歩行時につまづき歩行時につまづきやすく、膝を高く上げるニワトリのような歩き方になり、スリッパが脱げやすくなります。
 多くは数ヶ月で自然治癒するため、寝る時の姿勢や寝具を工夫して、神経の回復を促すビタミン薬を使用しながら回復を待ちます。歩行しにくい場合には装具を使用することもあります。
 一方、足首の前面や足の甲の部分で腓骨神経の枝が圧迫されることもあり(深腓骨神経麻痺・浅腓骨神経麻痺)、この場合には足の麻痺はなく、足の甲のしびれを生じます。窮屈な靴やサンダルによる圧迫が原因です。

 

4.足根管症候群、脛骨神経の障害

足根管症候群 足の裏がしびれる場合には、足根管症候群の可能性があります。
 脛骨神経は、足の内くるぶしの部分では、骨と靭帯に囲まれた狭いトンネル(足根管)の中を通って、足の裏へと向かいます。窮屈な靴を履いたり、この部分に静脈瘤やガングリオン(ゼリー状のしこり)ができると、脛骨神経が圧迫を受けて、症状があらわれます。足の裏から爪先にかけて、ジンジンするようなしびれや、足の裏に何かくっついているような違和感を生じます。
 靴の中にパットを入れたり、足の体操をすることなどで改善を図ります。

 一方、足の甲にもしびれがある場合には、坐骨神経痛の可能性があります。

 

5.モートン病

モートン病 足の第3指と第4指の間(または第2指と第3指の間)にしびれや痛みがある場合には、モートン病の可能性があります。
 これは先細の靴(ハイヒールや固い革靴)を履いて長時間立ち仕事をした時や、しゃがんだ姿勢で作業を続けた時に、足の前部の骨と骨の間で、指に行く神経が圧迫されることによって起こります。
 窮屈な靴を履かないようにしたり、靴の中にパットを入れることにより、改善を図ります。

 

6.足底腱膜炎

足底腱膜炎 朝起きて、歩こうとしたら、足の裏が痛むという場合は、足底腱膜炎の可能性があります。
 足底腱膜とは、踵から足の指の骨へと広がっている靭帯のようなもので、土踏まずのアーチ構造を支える役割をしていて、歩行時に地面と足との衝撃を和らげるクッションとして働いています。
 たくさん歩いたり、長時間立ち仕事をして、足底腱膜に小さな断裂を起こすと、症状があらわれます。朝起きて、歩き始めた時の一歩目に足の裏に痛みを感じるのが特徴です。扁平足の方やふくらはぎの筋肉が固い方に多くみられます。
 足の裏やふくらはぎのストレッチ体操をしたり、靴の中にパットを入れることにより改善を図ります。

最新情報は「院長コラム」にて更新しています

医療法人 大原内科医院
りゅう市役所北 内科・リハビリ科

〒444-0038 
愛知県岡崎市伝馬通 5-52
TEL 0564-21-0013

診療時間
9:00~12:00 × ×
16:00~19:00 × × ×
休診日:木曜・土曜午後・日曜・祝日