腹痛の原因には、胃腸風邪をはじめ、胃の病気、肝臓や膵臓の病気、小腸や大腸の病気、腎臓や尿管の病気、若い女性では子宮や卵巣の病気、など多くの病気があります。
　お腹のどの部分が痛むか、どんなふうに痛むか（キリキリ刺し込む感じとか、ドーンと重い感じとか）、食事や排便で痛みに変化があるかどうか、いつから痛みがあるか（急に強くなったとか、数週〜数ヶ月続いているとか）、などを確認することが重要です。

チェックポイント

　痛む場所によって疑われる病気が異なり、みぞおち周辺なら胃潰瘍や狭心症、右上腹部なら十二指腸潰瘍や胆石症、左上腹部なら胃潰瘍や膵炎、へそ周辺なら胃腸風邪や腹部大動脈瘤、右下腹部なら虫垂炎や大腸憩室炎、左下腹部なら過敏性腸症候群や大腸憩室炎、腹部全体なら胃腸風邪や腹膜炎、などを考えます。
　それぞれの病気によって痛み方にも違いがあるため、詳しく問診と診察を行い、原因をしぼって検査を行うことで、効率的に診断と治療に結びつける必要があります。

痛む場所と疑われる病気

1.みぞおち周辺：胃潰瘍や狭心症
2.右上腹部：十二指腸潰瘍や胆石症
3.左上腹部：胃潰瘍や膵炎
4.へそ周辺：胃腸風邪や腹部大動脈瘤
5.右下腹部：虫垂炎や大腸憩室炎
6.左下腹部：過敏性腸症候群や大腸憩室炎
7.腹部全体：胃腸風邪や腹膜炎

　便秘症の原因には、食物繊維や水分の不足、運動不足、お腹の筋力が弱いことによるもの、ストレスや自律神経の異常、排便の我慢のしすぎ、大腸癌や腸閉塞があります。
　便秘の解消方法としては、バランスの良い食生活を心がける、十分な水分を取る、適度な運動をする、お腹をマッサージするなどがあります。それでも解消しない場合には、便を柔らかくする薬や腸管を動かす薬を使用します。
｝　50歳以上の方で急に便秘になった場合には、大腸癌の可能性がありますので、まずは便潜血検査を行うことをお勧めします。 　

　食欲不振の原因は、多種多様で、あらゆる病気によって起こりますが、中でも、飲水が不十分なことによる脱水症、感染症（感冒や肺炎など）、胃の病気（胃潰瘍など）、肝臓や胆嚢の病気（急性肝炎や胆嚢炎など）、脳の病気（慢性硬膜下血腫など）、悪性腫瘍、精神的原因による食欲不振、が多くみられます。
　2週間以上にわたって食欲不振が続く場合には、実際にどの程度の量を食べているか、感冒や頭の打撲などのきっかけがあったかどうか、発熱や腹痛など他の症状があるかどうか、などを確認することが重要です。まずは詳しく問診や診察を行い、それぞれの症状に応じて必要な検査を行います。
　食欲不振の原因となった病気の治療を開始すると同時に、食べられるものから少しずつ食べる量を増やしてゆくことが重要です。本人の好みの味付けにしたり、食事の形状を食べやすいものにしたり、1回の食事量を減らして回数を分けたり、ジュース状やゼリー状の栄養補給剤を飲んでいただいたり、食欲を増進する薬を使用するなどの方法があります。 　認知症による食欲不振の場合には、日中は車イスで過ごすように心がけ、デイサービスに行くなど生活のリズムをつけることで改善する場合もあります。 　うつ病や精神的ストレスが原因の場合には、心療内科への受診をお勧めする場合があります。