医療法人 大原内科医院
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認知症

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認知症のケア

 大切なのは認知症の方を現実の世界に対応させるのではなく、「我々が認知症の方が持っている世界を理解して、その世界に合わせた対応をする」ことです。認知症を正しく理解し、ご家族が心にゆとりをもって認知症の方と向き合うことのできる環境づくりをしましょう。

 

認知症の方の気持ちを理解しましょう

 認知症の方も健常者とまったく同じように、ものを見て、感じて、考えています。  認知症の方は、記憶の障害により、過去と現在、現在と未来を記憶でつなぐことができないため、頭の中は過去を省みることができない不安、未来を予測できない不安でいっぱいです。そして自分が認知症であるということを自覚されていない場合もよくあります。感情をコントロールする脳の働きが低下するために、ちょっとしたことで怒ったり泣いたりすることもあります。

 言葉が十分に理解できなくなると、相手の表情、語気、まなざし、ふれあいなどの他のコミュニケーション方法で、周囲の状況を理解しようとします。すると感情面が研ぎ澄まされて、相手の様子に敏感に反応することがあります。そして相手に良く思われていないことに不満を感じたり、相手が興奮していることに興奮して、そんな自分にさらに興奮してしまうという悪循環を招きかねません。

認知症イラスト

 介護者の方はついつい「さっきも言ったでしょ!」「そんなことしたら困るでしょ!」と叱ってしまいがちです。
 しかし、叱る時の相手の様子などから、よけいに不安になって、怒りやうつといった様々な反応が現れてしまいます。認知症の方の不安を少なくして穏やかな気持ちで生活して頂くことが、こうした問題行動を抑えることにつながります。
 介護者の方が余裕をもって笑顔で接することが、認知症の方の笑顔にもつながります。家庭内だけで介護するのが難しい場合や介護者の方の疲れがたまっている場合などには、社会的サービスを積極的に利用しましょう。

サポートする上での留意点

●視線を合わせて、明るい態度でゆったりとしたペースで接するように心がけましょう。
●栄養バランスの良い食事をとれるようにサポートしましょう。
●規則正しい生活を送られるようにサポートしましょう。例えば、長時間の昼寝は夜間の不眠の原因となりますので避けましょう。
●散歩などの軽い運動に誘ってみましょう。
●自分でできることはなるべく自分でやって頂き、近くで見守るようにしましょう。

~ボケ介護10か条(ぼけ予防協会)~

1、コミニケーション 語らせて微笑みうなづき馴染み感
2、食事 工夫してゆっくり食べさせ満足感
3、排泄 排泄は早めに声掛けトイレット
4、入浴 機嫌を見て誘うお風呂でさっぱりと
5、身だしなみ 身だしなみ忘れぬ気配り張り生まれ
6、活動 できる事を見つけて生かす生きがいづくり
7、睡眠 日中を楽しく過ごさせ夜安眠
8、精神症状 妄想は話を合わせて安心感
9、問題行動 叱らずに受け止め防ぐ問題行動
10、自尊心 自尊心を支える介護で生き生きと

認知症によく見られる症状と具体的な接し方

■物忘れ

具体例 解決策

ごはんはまだですか?

ごはんはまだですか?

話題を変え、「忘れること」を利用する

 つい今しがた食べたばかりなのに、そのことをすっかり忘れてしまって何度も催促するというのは、よくある症状です。大切なことは、何が事実かで争うことではなく、本人に納得してもらうことです。「さっき食べたでしょ」と言っても、「私は食べていません」と、かえって反感を持たれてしまいます。あるいは「自分たちだけ食べて私には食べさせてくれない」という被害妄想的な感情を抱きかねません。こういう場合は「もうすぐできるから待っててね」「ちょっとつくるの手伝って」などと言って、待っているうちに忘れてもらうのが一つの手段です。また、何となく口寂しいとか、自分の好きな食べ物を食べさせてもらえない不満からこういう訴えをしている可能性もあるので、日頃からご本人の好きな果物やちょっとしたお菓子などを用意しておいて「もうすぐできるから、それまでこれで我慢して」というふうにして機嫌をよくするやり方もあります。

■見当識障害

具体例 解決策

今日は何日だい?

今日は何日だい?

同じ立場になり、不安を取り除く

 「今日は何日」というのは、何日かを知りたいというよりも、今がいつで、ここがどこなのかが不安だということの裏返しのことがあります。だから、何回でも繰り返して聞くのです。その時につっけんどんな受け答えをすると悲しい思いをさせてしまいます。かといって、介護者も心に余裕がないこともあります。だから、決まったところに大きな日めくりのカレンダーを掛けておくもの良い方法です。その都度、一緒にカレンダーの前に行き、「ああ、今日はX日なのね」と一緒に納得してみましょう。

■人物誤認

具体例 解決策

あなたはどなたですか?

あなたはどなたですか?

否定をしないで、まず受け入れる

 もう何年も一緒に暮らしているのに「あなたはどなたですか」と言われるのはショックだと思います。でも、これは記憶がなくなってしまうのだから仕方がありません。同じ理由で、別の人(その人の両親や兄弟、友人など)と間違われることもあります。そんな時には、強く否定しないでその人になりきってしまったほうがいい場合もあるようです。また、泥棒だとか恨みを持っている人と誤認して興奮することがあります。その時も、言い争うと余計ややこしくなりますから、一回姿を消してから、機先を制して「ただいま帰りました、○○です」といって、認識してもらうといった工夫をしてみましょう。

■幻覚

具体例 解決策

誰かが狙っている

誰かが狙っている

説得よりも、まずは安心感を抱かせる

 何もないところを指して「そこに妖怪がいる」「泥棒が狙っている」といって騒ぎ立てることがあります。このような時、本人は本気で怖がっていますから「何もないじゃない」と説得しても納得しません。ですからひとまず別室に避難させるとか「私がいるから大丈夫ですよ」とか「一緒に退治しましょう」といって、安心感を与えてあげてください。ただし、このような症状が何日でも続くようでしたら、医師にご相談ください。

■妄想

具体例 解決策

財布を盗まれた

財布を盗まれた

同じ感情を共有して、味方になる

 大切なものをなくしてはいけないと思ってどこかにしまい、そのまま忘れてしまうことがあります。いざ使おうと思ったらそれがないので、「これは怪しい、誰かがとったに違いない」と疑うのです。こういう場合は、「私じゃないわよ」と言っても、「自分がとったと自白する盗人がいるはずがない」となります。だから、「それは困りましたね、一緒に探しましょう」と、一緒に探しましょう。もし見つかった時も、家族が見つけると「やっぱりあんたが盗んでいた」と言われてしまいます。ですから、自分の手柄にはせず「このあたりを探してみましょうか」とうまい具合に導いて自分で見つけてもらって「あったぁ、良かった」と、喜びを分かち合いましょう。

■徘徊

具体例 解決策

帰り道がわからなくなる

 

帰り道がわからなくなる

高齢者の安全を守るネットワークづくりを

 認知症の高齢者の中には、自分がまだ現役であると錯覚して、かつてのように通勤を試みたり、何か用事を思いついて出かけてしまうということがあります。また、自分がいるところを自宅と認識できずに「家に帰る」と言ったり、何となく外の空気が吸いたい、歩いてみたいという理由で出てしまうこともあります。できれば、一緒に出かけて、季節のことなど話しかけたり、公園で一緒に休んだりして、ひとしきり気が晴れたら自宅に帰るというのが理想的ですが、介護者もいつもそうできる訳ではありません。一人で出かけてしまうことがあるのなら、玄関の戸にベルをつけておいて、出たことがわかるようにするという工夫をしてみます。また、住所と名前と電話番号を書いた名札を着衣に着けたり、名刺を作ってポケットに入れたり、ペンダントとして首にぶら下げておくとよいでしょう。また、よく行く商店街やスーパーの人などに、一人歩きをしていたら教えてもらうようにあらかじめお願いしておくのも大切です。携帯電話を持っている方ならGPS検索をする方法もあります。

■性格変化

具体例 解決策

腹を立てて攻撃的になる

腹を立てて攻撃的になる

介護者の方が冷静になって対応する

 認知症の高齢者の中には、性格が変わったように怒りっぽくなる人がいます。原因の多くは、感情をコントロールする能力の低下や、様々な思いを上手に表現することが出来ないもどかしさだと思われます。だから、介護者の方が平静さを失っていえるとより増幅されます。むしろ上手に話題を変えながら、注意を別の方向に持っていくとか、とりあえず、その場を離れ、一定の時間、間をおいて本人が忘れるのを待つといった工夫が有効なことがあります。また、日常生活や環境をもう一度見直して、原因となることがあったらそれを改めるようにしましょう。もし、あまりにも激高するようならば、医師にご相談ください。

■問題行動

具体例 解決策

失禁や不潔行為

失禁や不潔行為

激しく叱責することは逆効果

 介護者がもっとも気を使い、滅入ってしまうのが失禁と不潔行為です。汚れた下着かくしなどの不潔行為は、「失敗したことを隠したい」という羞恥心や自立心の表れだとされています。ですから、厳しく叱責することが逆効果になることもあるようです。その人の生活のリズムで「そろそろ排便かな」と思うタイミングで一緒にトイレに行くといいようです。そして、もし失禁した時も「ちょっとぬれたから替えましょうか」とか「新しいほうが気持ちがいいですよ」と言って平静に始末をしましょう。ひどい下痢や便秘の場合や、尿の出が悪い場合には、医師にご相談ください。

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